Love of Gaia


前回のブログから、随分と時間が経ってしまいました。
前回更新したのは6月。ボストンの長〜い冬が終わり、いよいよ新緑が
漲り始め、さぁこれから本格的な夏へ・・・!という時期だったという
のに、今窓の外を見ると、なんとすでに雪が積もっています。
今年ももうすぐ終わりだなんて、季節があっという間にひと巡りして
しまうようで、いつもながら驚いてしまいます。

今年の夏は、あの厳しい冬の分を取り戻さんとばかりに、海へ川へと
遊びに行ったり、昨年のように友人を訪れたり、日帰りでNY行ったり
水晶を掘りに炭鉱へ行ったり・・・そんな風に活動的に過ごしている
うちに、本当にあっという間に過ぎていってしまいました。

そして、だんだんと落ち着きを取り戻してくる秋になって、今年はまた
夏を再体験するような場所へ行ってきました。
メキシコの、カンクンを中心にユカタン半島の東部へと訪れる機会が
あったのです。

カンクンといえば主にアメリカ人のリゾート地として有名な場所ですが
リゾートというだけではない、何かもっと全身で、五感のすべてを開放
して、地球や太古の息吹を感じられるような、 そんな素晴らしい場所
だったのです。
まるで魂から解放されるような・・・といったら大袈裟に聞こえるかも
しれませんが、私にとってはそれくらい強烈な何かを感じられた場所
でした。
そしてそんな風に感じられたのは、ニューメキシコ以来のことで、
ボストンに帰ってきてからしばらくの間は、その感覚と都会との
あまりのギャップに、意識がボーッとしたままでした。


飛行機がカンクンの空港へと降り立つ時に地上をみると、そこは一面の
ジャングル。今までに見たことのない風景に、久しぶりに冒険心の様な
ワクワクとした気持ちが込み上げてきました。

車を運転してみると、道を横切るのはリスではなく(ボストンでは
リスがあちこちにいて道を横切ったりもするのです)なんとイグアナ。
空には見たことのない大きな鳥や、なんとペリカンまでもが飛んでいて
強烈な陽射しの下、すべてがなんと生き生きと鮮やかなこと。
太陽はニューメキシコよりもさらにジリジリと照りつけ、海や密林に
よる湿度も重なって、なんだか体中の眠っていた感覚がムクムクと
目を覚まさせられるかのようでした。

 イグアナくんにペリカンくん。

まず驚いたのが、海の色がターコイズブルーやエメラルドグリーンで、
ビーチの砂は白く、ほんとうに宝石のように美しいのです。

とりわけ宿泊先のすぐ前のビーチの海は綺麗なエメラルドグリーンで
水温も温かく、こんなにずっと海に入っていたいと思ったのは初めて、
というくらい気持ちがよくてびっくりしてしまいました。
そして、今までは好きだけれども、どこかで怖いと思っていたんだ
な、と、そんな感情にも初めて気がつきました。
なぜならそのエメラルドグリーンの海では、あまりの美しさと気持ちの
よさに、このまま海と一体化したいなぁ、などとウットリとした気分に
なって、気をつけていないとそのままどんどんと沖の方まで行って
しまいそうなくらいだったからなのです。
今まで、海でそんなふうに思ったことは一度もありませんでした。

地球上の海はすべて繋がっていてひとつなのに、いろんな表情がある
んだなぁ。地球上には本当に色んな場所があるんだなぁ・・・。

そんなことを思いながら、限りなく優しいエメラルドの海にただただ
身を任せていると、自分自身がすっかり癒されていくのが分かりました。

女神の島、イスラ・ムヘーレス。

色の効果とは、すごいものだなぁと思います。
海がエメラルドグリーンに見えるのは、砂浜が白く水の透明度が高いと
光の反射の関係でそうなるのだそう。
私は昔、色彩心理などの勉強を少ししたことがあるのですが、緑という
のは、樹木の葉や草など植物の色に代表されるように、落ち着きや
安心感を与えてくれ、リラックスさせてくれて、ピースフルな気持ちに
させてくれるという、癒しの色です。
ヨガなどで言われるチャクラでも、第四チャクラであるアナーハタに
対応する色は緑です。アナーハタは人間の胸の部分に相当し、ハート・
チャクラとも呼ばれるのですが、その名の通り愛や共感、調和や思い
やりなどに関係するチャクラなのです。
緑とは、愛や癒しの色なのですね。

私があのエメラルドグリーンの海から受け取ったものは、ただただ
優しい、地球からの愛でした。


ある夜は、ちょうど月蝕を伴う満月でした。
その日は嵐が近づいていたので、風が強くて海もすこし荒れていたの
ですが、美しい満月とその明かりに照らされた海に誘われて、しばらく
夜のビーチを歩くことにしました。


昼間エメラルドグリーンだった海は、深い深い闇の色に。
けれども満月の光が落ちる海面はキラキラと幻想的に輝いていて、
私はふと、映画「グラン・ブルー」でジャック・マイヨールが夜の海、
月明かりの下でイルカたちと泳ぐシーンを思い出しました。

視界が遮られる夜は、その分他の感覚が冴えわたります。
ザッザ〜ン!と大きな音を響かせる波や、肌に感じる生温い風、そして
その風によって遥か沖から運ばれてくる磯の香り、裸足の足の裏に
感じるきめ細かい砂の感触。
それらがすべて一体となって私を包み込み、私に語りかけているように
感じました。

そして繰り返し繰り返し、寄せては返す波を五感全てで感じていると、
あぁ、地球が呼吸しているんだなぁ・・・と、そんな風に思いました。


60年代にジェームズ・ラブロック博士が唱えたガイア理論は、地球は
ひとつの生命体である、という仮説から始まっています。
一般的に科学者からは批判されたこの仮説を理解するには、ある種の
感性が必要なのかもしれません。
私も今まで、いくつかの場面でそのように確信したことがあるのですが
それは証明しろと言われても難しいことで、けれどもただ本当に、
そうだと感じるのです。
そして、私自身が忙しく、自分自身を大切にすることを忘れたり、
心の信号を無視したり、表面的なことに捕らわれているときにはいつも
そういう感性はまったく失われてしまうのです。

「ありがとう」

海を見ていて、そんな言葉が、私の口から自然に出てきました。
何故なのか、よく分からなかったのですが、でもきっとそれは、地球が
私に語りかけ、絶え間なく与えてくれているものに対しての、心からの
お礼の言葉だったのだろうと思います。

Thank you for everything, Mother Earth.


次回は、マヤの遺跡や他にも訪れた場所について、書いてみたいと思います。

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