Travel and a Full Moon
Central Park, NY
先週末の静かな夜、窓の外がなんだかやけに明るいなぁと思って
ブラインドを上げてみると、夜空にぽっかり、まん丸いお月様が
浮かんでいて、煌々と光り輝いていました。
そういえば今日は満月だったっけ。
そう思いながら、キーンと引き締まった空気の中でいつもに増して
くっきりとした月をぼ〜っと見上げていると、心がシーンと静まって
その中でなんだかデジャヴのような感覚が沸き起こってきたのです。
あれ、ひとつ前の満月は、私はどこで見ていたんだっけ?
そのまま記憶を辿っていくと、そうか、ちょうどひとつ前の満月は
ニューヨークで見ていたのだった・・・と思い出しました。
そういえば、私は旅行や引っ越しなど移動の時には満月の日と重なる
ことが多いような。
思い返してみると、旅の記憶と満月とが一緒になって結びついていて
だいたいいつ頃の満月の頃にどこにいて、何をしていて、何を思って
いたのか、色々なことが情景と共に蘇ってきました。
ブルックリンの夜道で。 ニューポートの路地裏で。
ニューメキシコのホワイト・サンズ。
LAのグリーク・シアターでノラ・ジョーンズを聴きながら。
日本に帰国した時、温泉の露天風呂からも見ていたことも。
ボストンからニューメキシコに引っ越す時もたしかちょうど満月で、
今でもあのコネチカットの木々の間から、お月様がチラチラと見え
隠れしていた情景を、見知らぬ土地に引っ越してゆくドキドキした
気持ちと共に映画のワンシーンのように思い出すことができます。
旅先の空に、満月。
お月様は私がどこに移動したとしても、夜空を見上げればいつでも
変わらずそこにいてくれて、とても普遍的な存在に思えます。
ずっと見守ってくれているような気がして、だから旅先や引っ越し先
でも夜空にその姿を見つけては私はホッと安心するのかもしれません。
A full moon upon Little Italy
ひとつ前の満月の頃・・・ニューヨークに行ったのは、ちょうど
クリスマスのすぐ後のことでした。
5年ぶりのニューヨークはたった数日の滞在でしたが、できるだけ
のんびりと過ごしたかったので、ブルックリンのアパートメントホテル
に滞在し、ずっと行ってみたいと思っていた美術館を訪れたり、
ぶらぶらと散歩をしたりして過ごしました。
ブルックリンはここ十数年で若いアーティストやもの作りをしている
人たちが移り住み、ずいぶんと雰囲気が変わったということですが、
たしかに、昔のマンハッタンもきっとこんな感じだったのかもしれない
なぁというような、クリエイティブさとまだ手つかずな感じとが混じり
合ったような界隈もあれば、お洒落でこだわりのありそうなショップや
手作り感のあるカフェが立ち並ぶ界隈もあり、それでも全体的に静かで
素朴さがあるので、マンハッタンからブルックリンに戻って来ると、
ほっと落ち着く・・・といった感じでした。
けれどももう何十年かすると、ここもマンハッタンのようになって
しまうのかな。
そうすると今度はさらにその外側の地域がこんなふうに発展していって・・・
その頃のマンハッタンって、一体どんなふうになっているんだろう?
これ以上の発展って・・・?
都市も街も、生き物みたいだなぁと、街を歩きながらぐるぐると
そんなことを思っていました。
10年後に訪れた時にはまた違った街になっているかもしれない。
そう思うと、やっぱり旅はいつでも一期一会なのだなぁと思います。
Greene Fort, Brooklyn
私の好きな写真集の中にそんな言葉があります。
旅行に行くと、それが近くても遠くても、都会でも田舎でも、
色々なことが自分の中から溢れ出してきます。
一時的な楽しみや思い出作りのためだけではなくて、そこで感じた
ものや発見したものが、その後もずっと自分の中に根付いて、
何かのヒントやエネルギーになるような・・・
私にとって、旅とはそういうものなのだろうな、と思います。
もうすぐまた旅立つので、そんなことを色々と考えながらパッキング
しています。
また私の中で溢れ出す何かをたのしみに。
Bon Voyage!