Greece
















行ってみたい国というのは本当にたくさんあるけれど
生きている間にいったいどれだけの国に行けるだろう?
と、いつも思います。
きっと、そんなに多くはないんだろうなぁ。

そんな中で、昔から憧れていて、そして幸運にも訪れることのできた国
それがギリシャです。

子供の頃、家に天球儀とギリシャ神話の本のセットがあったのですが
古代ギリシャの神々が繰り広げる美しくて壮大なストーリーや
夜空に輝く星座との関係性もとてもロマンチックで神秘的で
毎晩夢中になって読んだものでした。
(今考えると、あり得ないお話ばかりなんですが!)

そのため私の中でギリシャは、ちょっと特別な国でした。

古代の香りのする神聖な場所、というイメージで
もちろん物理的には行くことが出来るのですが
気持ち的には、なんだかたどり着けない遠い場所のような・・・
そんな感覚でした。

そんなギリシャが少し近く感じられたのはきっと、日本で出会った
ギリシャ人の友人の影響が大きいと思います。
もし彼に出会ってなかったら、私の中でギリシャはずっと
遠い遠い憧れの地のままだったかもしれません。


そんな縁もあって訪れることができたギリシャ。
滞在したのは主にアテネとサントリーニ島でしたが、ほんとうに想い出深い旅になりました。

最初に降り立ったサントリーニ島は、エーゲ海にぽっかりと浮かぶ
三日月の形をした島です。

学生の頃に、エーゲ海の風景に憧れて一人暮らしの部屋にポストカードを貼っていたのですが、その写真がまさにそのサントリーニの風景だったことを思い出しました。

どこまでも青い青い海と空。
そして海沿いにはずっと真っ白な家並みが続き、その中にところどころブーゲンビリアのピンクが差し色のように鮮やかにちりばめられ、どこを見ても絵のように美しい風景。

10月の終わりでちょうど観光地が少し寂れてきた頃だったので、人もそれほど多くなく、日射しも少し柔らかさを帯びてきていました。

静かな海に反射するやさしい光に目を細めながらも、あのポストカードそのままの風景が目の前にあることがなんだか信じられなくて、
まるで夢の中にいるよう、とはこういう感覚なんだろうかと思いました。

島全体の雰囲気がとてものどかで、ゆったりとした時間の中、私も毎日のんびりと歩いて写真を撮ったり、車を借りて島中をぐるりとまわったりして過ごしました。

そこで印象的だったのが島に住む猫や犬たちです。

猫は皆、ほんとうにのんびりと気ままに暮らしている様子で羨ましく、もし猫に生まれ変わるのなら、サントリーニ島の猫になりたいなぁなどと思ってしまいました。

野良犬もたくさんいて、それもけっこうな大きさの犬が普通に街中ぽてぽてと歩いていたりするのですが、とても人なつこく飄々としていて、決して人に向かって吠えたりしないのです。

猫も犬も、皆とてものんびりと幸せそうでした。

そういえば、ちょっとおとぎ話のような不思議な想い出があるのですが・・・

ある晩、夕食を食べにいこうとホテルを出て街中に向かって歩いていったのですが、私たちの泊まっていたホテルから街の中心部までは少し距離があったので、安全な島とはいえ、暗い海岸沿いの道を歩くのが少し怖いなと思っていたのです。

そのとき、どこからともなく2匹の犬がふらっと現れて、まるで街灯りの方へと誘導してくれるかのように、私たちと歩調を合わせて歩き出したのです!

ひょこひょこと、私たちの前に行ったり後ろへ回ったり・・・
なんだかとても頼もしくて、旅のお供を得たような気分でした。

そして、しばらくして街の中心部までたどり着くと、2匹はまたすぅっと路地へと消えていきました。

ほんとうに、道案内をしてくれたのかな?
束の間の、夢のような時間でした。

サントリーニでの日々は、そんな風にのんびりした時間の流れの中、やさしく過ぎていったのでした。


一方でアテネはというと、やはり島とは違って都会の殺伐としたクールさを漂わせる中にも、やはりどこかアナログな雰囲気を残す街でした。

近代的な街のあちこちに古代ギリシャの遺跡が見え隠れするというのは、なんとも不思議な光景です。

その中でも、パルテノン神殿などが建つアクロポリスの丘の、静かにして壮大な存在感には、悠久の威厳とでも言うようなものを感じました。

きっと古代の頃からずぅっとこの街の人々の生活を見守り続けてきたんだろうなぁ、と思うと、胸が熱くなります。

遥かな昔からそこに在り続ける神殿たち。
古代の人たちは、いったいどんな風に暮らし、どのような気持ちでこの同じ景色を見ていたのだろうと、思わず時を超えて想いを巡らせてしまいました。

島もアテネも雰囲気は違うけれど、両方ともに共通して感じたことは、今もなお神性のようなものが生き続けているということでした。

それは実際に人々が信仰深いとかそういうことではなく、長い長い時間をかけて、もうすっかりその土地に染み着いているもの、といった感じです。
すべて、この国の長い歴史があってこその威厳や美しさなのだろうなと思いました。

本当はもっともっと、エーゲ海の他の島々や、本土の内陸や北部にも行ってみたかった・・・!
きっと他にも、たくさんの魅力的な場所があるに違いありません。

そんなわけで、今もなお私のギリシャへの想いは尽きることなく続いています。
それほどにこの国の魅力は、私の心を捉えて離さないのです。

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