Ocean and the Colored Memories


もう少しだけ、夏の思い出です。

この夏は、今までで一番かもしれないというくらい、毎週のように海辺へと足を運んでいました。

ニューイングランド地方の海岸は地形が複雑になっているので、カリフォルニアのビーチや私の生まれ故郷で見てきた太平洋のような広〜い水平線というのとは違って、こぢんまりとしていて静か。
けれどもその分、ひっそりと入り江のようになっているビーチや、岩場の多い海岸、半島のように突き出したところにある港など、それぞれの場所によって少しずつ表情が異なっているのが魅力です。

マサチューセッツの小さないくつかの港町は歴史も古く、伝統的な木造建築の建物が並んでいて、クラシックで可愛らしい雰囲気。
観光地でもあるので表通りはワイワイと賑やかなのですが、一本通りを入るととても静かで、地元の人々がのんびりとしたムードで暮らしているのがまたいい感じです。

Rockport

海から漂う潮風、曖昧さのない光、自由な雰囲気・・・
海辺の街は、なにか独特な空気感がありますよね。

そういった港町にはアーティストも多く暮らしているので、休日には彼らのスタジオをオープンにしてくれていて、作品をみせてもらったりちょっとしたおしゃべりをするのも楽しみです。

 Provincetown,  Cape Cod

海に限らずですが、アメリカ人はちょっと時間があると自然の中へ出かけてのんびりするという過ごし方がとても上手だなと思います。

簡単な食べ物と飲み物、パラソルとシートを持って気軽にビーチへ出かけ、海を見ながら本を読んだり、お昼寝をして半日くらいのんびりしたり、ほんの数時間でも友達と海で待ち合わせをしておしゃべりしたり。

Herring Cove Beach, Provincetown


何も特別なことではないのだけど、ずいぶんとリラックスできて気持ちがよくて・・・こういう時間を少しでも持つようにすると、毎日の生活が少しずつ違ってくるような気がします。


最近ではビーチで過ごすにはちょっと涼しくなりすぎてしまいましたが、それでもまだまだ海に惹かれて、休日の午後や夕方に、ちょっとドライブがてら、海を見に行ったりしています。

夕暮れ時の東側の海は、一面ピンクがかった色で染められ、本当にきれい・・・。
海風に吹かれて、心も体もすーっと洗われるように気持ちが良くて、その情景の美しさに、いつも静かに感動してしまいます。

昼間の青い海もいいけれど、そんな静かでシーニックな夕暮れの海が、やっぱり一番好きかもしれないなぁと思います。



先日、そんな美しい夕暮れ時の海を見ていて、ふとこの夏に聞いた、年齢に関するふたつのエピソードを思い出しました。

ひとつは、前回にも書いたメインに住む友人の言葉。

「年齢を重ねるのって、ほんとうに素晴らしいよ。
 みんな、人生は60歳で終わると思ってるけど、そんなこと全然ない。
 僕自身、若い頃に比べて今の方がずっと楽しくて、マインド的にも
 ずいぶんと成熟して活発になっているんだから。
 体はね、どんどん静かになっていってるけどね(笑)
 でもメンタルは、本当に、年々すばらしくなっていっているよ。」

そしてもう一つは、誕生日を迎える友人が、尊敬する80歳近い女性に
「私、明日で38歳になるんです・・・」と話したところ、その女性が
フッと笑って言ったという言葉です。

「私の人生は、40歳から始まったようなものよ。」


秋になると私も毎年ひとつ年を重ねるのですが、この夏に聞いたそのふたつのお話はとても印象深く残っていて、なんだかバースデーのギフトのように感じてしまいました。

魅力的に自分の人生を生きている年上の方からの言葉には、人生を豊かで前向きに、オリジナルに生きるための、あたたかで優しいエネルギーがたくさん詰まっているように思います。

どんな風に生きてきたか。今、どんな風に生きているか。
そしてこの先、どんな風に生きていきたいか。

1年後、3年後、10年後、私はいったいどこにいて、どんな人生を送っているんだろう・・・と、未来に想いを馳せながらも、いつでも「今ここ」を楽しく、自分らしく生きていきたいな。

ピンク色に染まる海を見ながら、そんなふうに思った秋の夕暮れでした。


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