Something New


2週間ほど前、4日間の車の旅の後に無事ボストンエリアへ到着し、
郊外の静かな街のアパートに落ち着きました。

ボストンというと都会のイメージですが、ここはこぢんまりとした
ニューイングランドらしい古い街で、なんとなく日本で暮らしていた
街のことを思い出します。

2年前にここからニューメキシコへ車で引っ越したときにはすべての
旅路が新鮮だったのに比べて、今回はそういった目新しさはなかった
のですが、それでも、ニューメキシコを抜けて北へ東へと進むにつれて
次第に視界が緑でいっぱいになっていく様子に、とても不思議な感覚に
なりました。

ニューメキシコを発った日の夕方。最後の空。

空気中に水分があるのが肌で感じられ、息を吸い込むときにも体内に
水が入ってくるのがわかるほど。

ニューメキシコって本当に乾燥していたんだなぁと改めて思いました。
なんでだろう?お隣のコロラドもアリゾナも、けっこう緑があるのに。
水脈が少ないのかなぁ・・・などと、道中考えを巡らせていた私でした。


新しいアパートの窓の外も緑で溢れかえり、小鳥のさえずりも聴こえて
きて、とってものどかです。

島国育ちの日本人にとって、水と緑はやっぱり原点のようで、
瑞々しい癒しと自然の恵みを一番に感じさせてくれるものなんだなぁと
しみじみ。
それに加えて、ニューメキシコでの田舎暮らしの心地よさに慣れて
しまったので、こんな静かな場所に部屋を見つけられたことは、
本当にラッキーだったな、と思います。


旅路の途中、猫たちのことも心配していましたが、最初は戸惑っていた
2匹も、徐々に慣れてきてくれたので安心しました。

猫は繊細でストレスに弱いと聞きますが、何だかんだとけっこう
耐久性がある生き物なんだなぁと、ずっと見ていると思います。

色々な変化があるのにも関わらず、こうしていつも一緒にいてくれて
本当にありがとう!と、ますます愛情が深まりました。

コロラドのモーテルにて。アリス。

出発前のニューメキシコでは連日100°Fという日々だったのですが、
こちらに到着した頃は涼しさを通り越して寒くてびっくりしました。

ところがここ数日は今度は信じられない暑さになり、しかも久しぶりの
湿度のある暑さに、乾燥地帯のニューメキシコから来た身にはつらくて
グッタリしています。
まるで一日中サウナの中にいるよう・・・水分って、すごいなぁ。
そういえば、日本でもこんな感じだったなぁと思い出します。

改めて、ニューメキシコとニューイングランド地方は、本当に、
同じ国とは思えないほどに違っていることを色々な場面で感じます。
気候もそうですし、建物も街並みも、そして人々も。
その名の通り、まるでメキシコとイギリスのように。

フリップ・フラップで気ままに感覚的に暮らしていた向こうでの生活
から、ちょっと服装もしっかりと、そして人々と話すときにも論理的に
と、そんなことを少し意識しながらの、新しいスタートです。


数日前、ばたばたと荷解きをしていたら、ふいにニューメキシコで
作った器が出てきて、しばらく時間が止まってしまいました。

そこには本当に色々な想いが詰まっていて、言葉にできないものが
たくさんたくさん、込み上げてきたのです。

それらを新しいキッチンのダイニング・テーブルに置いたとき、
ホッとする気持ちとともに、あぁ、新しい生活が始まるんだと、
なんだか実感したのでした。


あ、雨が降ってきました。

生ぬるい空気。
しとしとと、葉っぱに雨の粒が落ちる音。
緑と土の匂い。

こんな雨も、なんだかひさしぶり。

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