Living with cats

猫と暮らすと、もう猫のいない暮らしなんて考えられない・・・!
ということをよく聞きますが、ほんとうに、その通りだなぁと
日々思います。
例えば旅行などでホテルに泊まった夜。
生き物の匂いのしない部屋になにか物足りなさを感じたり
ベッドに横になっていても、いつもは猫たちがベッドにぽん、と
飛び乗ってくる・・・そういう気配のないことに、何だか無性に
寂しくなったりします。
猫って、犬に比べるとその場にいる気配や存在感が大きくはない
のですが、まるでその家の空気のような存在になっていて
居るのは当たり前、そして居ないと分かると猛烈に寂しくなる・・・
そんな生き物ではないでしょうか。

日本から連れてきた黒猫のシトロンと、去年迎え入れた毛足の長い猫
アリス、この2匹の猫との生活が始まってもうすぐ1年半が経とうと
しています。
今では2匹のいない暮らしなんて、考えられません。
移動も多い私たちが、それでも2匹目のアリスを受け入れたのは
シトロン同様、アリスに出会ったときに、何かとても感じるものが
あったからでした。
ニューメキシコに引っ越してきて1ヶ月ほど経ったある日、
シトロンの餌などを買いにとあるペット用品のお店に出掛けたところ
店内の片隅に設置されていたアダプション用の猫たちのケージの中に
いたアリスに、妙に心が惹き付けられました。
それまでにも何度かそのお店には行っていたのですが、
そんなコーナーがあることにさえ、全く気がつかなかったというのに。
それまで猫と言えば、シトロンのようにいかにも野良猫にいそうな
毛の短い猫しか頭になかった私ですが、そこにいたのは、けっこうな
大きさの、白とグレイのふさふさの毛をした青い目の猫。
とても美しくて、異国情緒たっぷりでした。

一見クールに見えたのですが、実はとても人なつこくて、
ケージに掛けられていた説明文によるとすでに6歳。
どうやら仔猫のときにシェルターに保護され、その後誰かに貰われた
らしいのですが、その飼い主さんが妊娠して体質が変わり、
猫アレルギーになったため、またシェルターに捨てられたということ
でした。
そういう事情はあったのだろうけれど、それでも6年間も一緒に
暮らしたペットをまたシェルターに戻すなんて・・・と、
私にはすこしショックなことでした。
私はそのケージの前を離れることができなくなり、しばらくその場で
色々と考えていました。
仔猫は引き取り手も多いと思うのですが、6歳にもなった大きな猫は
なかなか難しいだろうな、ということも、頭を過りました。
そして一度そのお店を出て、1時間ほど経ってから「引き取ろう!」
と決意し、お店に引き返したのでした。

再びアリスのケージに近づいた時、その場にいた小さな男の子が
「僕、この子を知ってるよ!最近いつもここに来るといるんだよ。
すごく人なつこいんだ!」
と話しかけてきたので、そうなんだね〜と、少し心温まる会話を
交わしました。
それから必要な手続きを済ませてアリスを連れて家に帰ろうと
したところ、その男の子が遠くから、
「その子をもらってくれてありがとう!」
と、大きな声で、こちらに呼びかけてくれたのでした。
それを聞いて、少し不安を抱えながらも勢いでアダプションを
進めていた自分の心がほっと落ち着き、きっとこれでいいんだ!
と思えたことを憶えています。
でも、大変なのは、それからでした。
2匹目を迎え入れるときには、引き合わせるための決まり事が
あるなんて、全く知らなかった私たちは、何も考えず
一気にシトロンにアリスを引き合わせてしまってさあ大変!

猫って猛獣なんだ・・・と、そのとき心から思い知りました。
私も引っ掻かれて、けっこうなケガをしてしまいました!
そして精神的にもショックを受けたのでした・・・。
特に成猫同士は大変らしく、数ヶ月、場合によっては年単位で
辛抱強く見守る必要があるとか・・・
子供の頃は、家でなんの問題もなく、何匹もの猫が自然に一緒に
暮らしていたので、そんなこと、考えもしなかったのです。。
しばらくは本当に大変でしたし、善かれと思って引き取ったのに
これじゃあ逆効果だったのかも・・・と落ち込むこともありました。

でも!
1年半近く経った今、あの頃からは想像もできないくらいに、
2匹はうまく同居しています。
「2匹の猫が仲良く寄り添って眠っている・・・」
という、当初私がイメージしていた理想図にはほど遠く、
まだお互いにあんまり相手のことは好きではないようなのですが
でも、ずいぶんと慣れて、ケンカをすることもありません。
たまに威嚇したりしていますが、それも微笑ましい適度のもので
かえって見ていて和んでしまうくらいです。
同じ猫でも2匹の性格はまったく違うので、それぞれの行動が
おもしろくて、ついつい、観察してしまいます。

野生の血が流れているシトロンは、身体のラインも身のこなしも
シャープなのですが、おそらく室内猫の血を汲んでいるアリスは、
まず体型は・・・・・・。
そして行動ものんびりマイペースで、遊ぶときもまるでぬいぐるみが
動いているかのように、ほわん、ほわん、と。
おそらく野生に放っても、虫一匹捕まえられないでしょう。
引っ越した時も、シトロンはまず部屋中の色々な場所を偵察して
廻るのに忙しくしていたのに比べ、アリスはソファーの下に潜り込み
2日ほどそこから全く出てきませんでした。
また、シトロンは人間の食べるものにはほとんど興味を示しませんが
アリスはこちらが食事をとろうと食卓に着くと、まるで犬のように
「たべもの!」と訴えてきて、お菓子や甘いものも大好きです。
前の飼い主さんが、きっと色々とアメリカンフードを与えて
いたんだろうなぁ・・・なんて推測をしてしまいます。

そういえばシトロンは、アリスが来てからというもの、
ずいぶんと大人になってきたような気がします。
なんだか、家の中の秩序を保とうと、一生懸命パトロールしてくれて
いるような感じなのです 笑
そうそう、実はうちにはもう一匹、もうずっと一緒に暮らしている
猫がいます。
かれこれ20年ほど・・・?
それは、この黒猫です。

この子は、私がその昔、アメリカでホームスティをしたときに
ホストファミリーのママの、おじいちゃん、おばあちゃんが作って
くれたものなんです。
木で出来た黒猫に、目玉はビー玉でできていて、なんともカワイイ!
大好きで、ひとり暮らしの部屋でも、何回引っ越しをしても、
気づけばずーっと一緒に暮らしている、特別な猫なのです。
そんなふうに、私の猫との生活は、きっとこれからもずっと
続いていくのだろうなと思います。
I always love you, Citron and Alice!
