Creation and Realization


何かを創るということは、人間のもっとも根源的で、本能的な行為
なのではないのかなぁ、と思います。

それはただワクワク楽しいだけではなくて、没頭しきる心地よさや、
自分の中にあるイメージや想いを、現実の世界に形あるものとして
生み出せることの感動。

思い出してみると、子供の頃はきっと誰もがみんなアーティストで、
想像力豊かに夢を大きく描き、創造することに没頭するような時間を
それぞれ過ごしていたのではないでしょうか。

子供の頃の私はとにかく絵を描くことが好きで、色々と賞を貰ったり
していたのですが、そういった進路に進むことができずにガッカリして
高校を卒業すると同時に、一切絵を描くことをやめてしまいました。

今思うと、あれは私の人生におけるかなり重要な分岐点だったなぁと
思います。
もしもあのまま、私が絵を描き続けていたら・・・?
ふとした瞬間に時々、そんなことを考えてしまいます。

というのも、それからもうずぅっと長い間、私の心にはどこかポッカリ
と穴が空いたような、何かが足りないような気がしていたからでした。
けれど自分の中で、それが絵を描くことをやめてしまったことと
関係があるなんて、これっぽっちも気がつかず・・・。 

それに気がついたのは、ニューメキシコで陶芸に出会ってからでした。
作陶していて感じる充実感は、何とも言いがたい贅沢な不思議なもので
それはまるで探していたパズルのピースがピッタリとはまったかのよう
な、そしてお腹の底に何か大きく温かなものがどっしりと据えられて、
揺るぎのない安定感を得たかのような。

そしてそれは、あの、子供の頃に、特別なにも意識することもなく
自然に絵を描いていた、あの時の感覚を思い起こさせてくれたのです。

「あぁ、これだったのか・・・」

そのとき私ははじめて、自分の人生がなぜずっと長い間、どこか
フワフワと心もとなく感じていたのか、その理由を知りました。

I've found my "Missing piece".

17歳のときに、私が自ら蓋をしてしまった本能的な創造の欲求。
それはただただ素直な自分の本質そのもので、個性でもあり、
もしかしたら何かギフトのようなものだったのかもしれません。



けれど創造すること・・・というのは、考えてみると、アートワーク
だけではなくて、本当は日常生活の中で私たちが自然に行っていること
すべてにおいて言えることのような気がします。

料理や住まい、それにファッションは目に見えて分かりやすけれど、
実際は朝起きてなにか思うこと、考えること、行うこと、発言すること
そして小さなことから大きな決断まで、なにかを選択することも。
全てのことが自分という人、そして人生そのものを、知らず知らずの
うちに創りあげているのではないでしょうか。

陶芸をしていて、何かを創り上げることに関して、おもしろいなぁと
思う発見がいくつかあるのですが、そのひとつは、最初にしっかりと
したイメージを持っておくと、ちゃんとその通りのものが出来上がる、
ということです。

反対に、何をつくろうかなぁ・・・と曖昧に作り始めたものは、その
通りの、何か曖昧なものにしかなりません。
さらに、ノートにデッサンをとっておいたものは、本当にその絵の
通りに出来上がるので不思議です。
例えば、何か思いついた時にデッサンを描いておいて、その後すっかり
そんなことは忘れてしまっていても、数ヶ月後に作ったものをみて
そう言えば、と思い出してノートを見てみると、そこにそれそっくりの
絵があって驚くことも!

考えてみれば当たり前のことなのかもしれませんが、イメージや意志を
明確に持って取り組むことでそれは現実化するのだなぁと、あらためて
納得してしまいました。

一方で、私が陶芸の最大の魅力だなぁと思うのが、最後に釜に入れたら
その後はもう自分では何もコントロールできないということです。

陶芸を始めたころは、出来上がってくるものがイメージと違っていて
ガッカリすることもよくあったのですが・・・そうなのです、どれだけ
頑張っても、結局のところ陶芸は、環境や天候、思いもよらない化学
変化などちょっとしたことに左右されるので、最終的に100%の思い
通りになることはまずないのです。
もちろん、色々なことを細密に計算しテストを重ねれば、限りなく
思い通りにすることは可能なのですが、でも、私は陶芸の醍醐味は
そのコントロールできない部分にあると思っています。
どんなにがんばっても、最後のところはもう運を天に任せる・・・と
そういうところが、なんだかたまらなく良いなぁと思うのです。

そして、これまた不思議でおもしろいのですが、窯出しをした時に
「あぁ、なんだか思っていたのと違う・・・」とちょっとションボリ
したものでも、しばらく経つと「あれ?これって案外いいかも。」と
思えてきたりして、結果、最初にイメージしてたものって実はこんな
感じだったんじゃなかったかなぁと思えてきたりもするのです。

思えば、私たちが何かを想像したり望んだりするとき、その元となる
リソースは、自分自身の経験と今まで見聞きしてきたもの、そして
世の中に溢れている情報がほとんどで、そう思うと、かなり制限された
狭ーい範囲の中だけで思いついたことだったりします。

でも実際は、それよりももっと他の、自分が考えもつかないような
ものが、本当に自分が望んでいたり、自分に合っているものだったり
することが、世の中にはたくさんあるのかもしれませんね。

だから、いつも頭を柔らかく、心をおおらかに、感性を研ぎ澄ませて。

今日も自分の一日を創造しよう。

Create your day!

More Posts