Sweet Rain
長かったボストンの冬もようやく終わり、やっと春が・・・と思って
いたのも束の間、気がつくとあっという間に初夏になっていました。
春なんてほんとうに一瞬で、まだかまだかと待ちわびていたアパートの
周辺の桜や梨の花も、ある日突然に蕾が開いたと思ったら数日のうちに
散ってしまい、今ではもう新緑がぐんぐんと成長しています。
けれどもこの生命力が漲る初夏は、私の大好きな季節。
もしかしたら、一年中でいちばん好きな季節かもしれません。
あんなに長い間枯れ木のようだった植物たちが、今では緑の葉っぱを
もじゃもじゃと茂らせている姿をみると、本当にすごいなぁと思います。
どこに行っても、例えばつい2ヶ月前とはまったく景色が違うので、
一瞬別の場所に来たのかと錯覚してしまうほどです。
この時期はお天気が少し不安定になるようで、湿度がもわ〜っと増して
きたなと思ったら、しとしとと雨が降り始めたりするのですが、
その新緑の上に落ちる雨音が、何とも言えずほんとうに心地よくて、
最高のリラクゼーションになっています。
それにこうした気候は、私にとってはやっぱり日本を思い出させられ
ます。
湿度と雨とともに、日本での五感の記憶がふわーっと蘇ってきて、
なんだか本当に日本にいるかのように感じてしまうのです。
その土地の風土とそこに暮らす人々の性質は密接に結びついていると
思うのですが、日本人は気質にもどこか湿度がありますよね。
情緒や風情といった独特の文化や心も、そういうところから生まれて
きたものなのでしょう。
うーん、やっぱり私、日本人だなぁ・・・
そういっている間にも、また雨が降ってきそうです。
ここのところ、朝は晴れているのに夕方くらいになると一雨降ると
いった具合なので、雨と太陽の光によって緑たちは本当にグングンと
成長し、いつもの散歩コースはもう何だかジャングルのようにモジャ
モジャとしてきていて、そんな中をたくさんの種類の鳥たちが様々な
声で鳴き合っているのを聞くと、まるで小さな熱帯雨林にでもいるか
のように思えてしまいます。
草木にも心にも優しい雨。
家の中でその雨音を聴きながらゆっくりと過ごす時間は、ちょっと
瞑想的でもあって、心からほっと落ち着ける、最近のお気に入りの
時間です。