Letters


郵便受けを覗いたとき、自分宛ての手紙をそこに見つけたときの何とも言えないうれしさ。

部屋に持ち帰り、すこしどきどきしながら封を開け、折りたたまれた便箋を丁寧に開いてゆく・・・

世の中にインターネットが広まってから、そういうシチュエーションは、いったいどのくらい減ったのでしょう?

そういう私も近頃ではすっかりメール派になってしまいましたが、昔はずいぶんと、友達に宛てて取り留めもないことをつらつらと書いていたなぁと、なつかしく思い出してくすっと笑ってしまいます。

私の周りの友人などは今でも意外にアナログな人が多くて、折に触れてふと手紙やカードをもらったりするのですが、その温かみにはいつも心を和ませてもらっています。

特にアメリカに来てからは、思いがけず日本から手紙が届くとやはりうれしく、そしてなんだかほっとして、次に、どきどきしながら封を開ける・・・というあのなつかしい感覚を味わいます。

そうして便箋を開くと、その手紙にしかない独特の雰囲気が、ほわん、と匂ってきます。

あぁ、○○ちゃんだなぁ〜
と、思わず顔がほころんでしまうような、そんな瞬間。

まるでその場の空気も一緒に届けてくれたかのような。

文章の内容だけではなく、字の癖や行間の空け方、文体、そして便箋の選び方・・・

すべてが一体になって、その手紙自体がメッセージとでもいうように、私の胸にじんわりと響いてきます。


それらの手紙は、箱に入れて閉まってあるのですが、たいてい、引っ越しの時などにはこの箱がふと目につき、開けてみようかな・・・という気分になり、手を伸ばします。

そして小一時間。
すべての手紙を読み終わる頃にはいつも、頬には幾筋もの涙の跡。

なぜだか胸は清々しく、お腹の底から何か強くあたたかいパワーが、むくむくと湧いて来ているのを感じるのです。

大切な家族や友人たちからの気持ちのたくさん詰まったその手紙は、今の自分が忘れていることを思い出させてくれたり、励ましてくれたり、癒してくれたり、笑わせてくれたり・・・

そして不思議と今の自分に必要なメッセージがそこには書かれていて、ふと初心に戻れたり、大切なことに気づかせてくれるのです。

もしかしたらそれを書いた人はもう、そういう気持ちではいないのかもしれないし、そんなふうに書いたことすら、覚えていないのかもしれません。

それでも手紙の中には、どれだけ時間が経っても変わらずに、そのときのそのままの気持ちがしっかりと残っているものなんだなぁ、といつも思うのです。

まるで、その人たちが時間を超えて私に元気をくれているような気がして、ほんとうにありがとう!と、空に向かって叫びたくなるような、そんな気分です。


よし、私も今日からまた、大切な人に手紙を書こう。

時が経っても色褪せないメッセージを、届けよう。

More Posts