Natural Essence


ボストンエリアに引っ越してきて、2ヶ月が経ちました。
引っ越しのバダバタに加え、すぐに陶芸のクラスに行き始めたりした
ので、もう本当に毎日があっという間に過ぎていってしまったような
気分です。

こちらに来てからしばらくは身体感覚がものすごーく辛くて大変だった
のですが、それは今となってはとても貴重な体験だったような気がします。

それまでは広々とした視界の中で車を運転する生活だったので、
バスや地下鉄に乗ったり人がたくさんいる場所に行くだけで頭が痛く
なったり、湿度があるために色々な匂いが際立って感じられて気分が
悪くなったり・・・
頭で想像していたのとは違って、体というのはなんて正直なんだろう!
と、自分でもその症状というか、体感することに対してビックリして
しまいました。

ニューメキシコのような、本当にな〜んにもない場所から都会へ来ると
すべてのもの・・・景色もそうだし社会生活の構造なども、全部が
複雑なレイヤーになっているように見えました。
昔はそのレイヤーの中で何も思わず普通に暮らしていたのですが
一定の期間そこから離れることで、こうもハッキリと見えるのかと
言うほど、自分がまるで遥か上空からこの場所を俯瞰して見ている
かのようでした。

最近ではもう色々と慣れてきたのですが、その一番最初にストレートに
感じたことはほんとうに貴重な気がするので、忘れないでいたいなぁ
と思います。


そんな毎日の中でも、私に癒しと元気を与えてくれたもの・・・
それはやっぱり、自然の恵みでした。

とてもラッキーなことに、私たちのアパートの近くには、自分たちの
農場で収穫した新鮮な野菜などを売っているマーケットがあって、
そこで買う野菜も、お肉も、チーズも、牛乳も・・・
何を食べてもほんとうに美味しいのです!


素材がいいのでできるだけシンプルな調理をするようになり、
自分がちょっと料理上手になったような気がして、前にも増して
料理が楽しくなってきました。

せっかくたくさんのレストランが立ち並ぶボストンに戻ってきたので
外食も楽しいのですが、結局のところ、家で料理をして食べるのが
一番美味しいな〜と感じる今日この頃です。

すぐ横にあるファーム。
買い物の際にこの畑を眺めるのも大好きです。


もうひとつ私の心をとっても癒してくれたのが、こちらもアパートから
ほど近い場所にある、緑に周囲をぐるりと囲まれた静かな池。
この場所を見つけたときにはほんとうに嬉しくて、それからもよくこの
場所に散歩に行くようになりました。


対岸は子供用の小さなビーチのようになっていて、今の時期は賑やか
だったりするのですが、不思議なことに少し離れるともう何も聞こえ
なくなります。
そういえば、この森のすぐ裏は割と主要な道路も通っているのですが
不思議なくらいに車の音も何も聞こえません。
緑や水分が音を吸収しているのかな?

ニューメキシコでは、大地を遠ーくまで見渡せて、そのずぅーっと
向こうを走っている車や飛行機の音も、まるで大地全体に木霊するよう
にボワ〜ンと聞こえてきていたなぁと思い出し、また色々なことを
興味深く考えてしまう私です。

そして、水辺に生息する多様な動物、植物、微生物・・・
この場所だけでいったい日々どれだけの自然界のドラマが起こっている
んだろう?・・・そんなことに想いを巡らせていると、なんだか
この池がまるでひとつの小さな惑星のように思えてきました。


雨上がりと夕暮れ時の時間帯が特に好きで、そういう時にチャンスが
あればこの場所に行くのですが、雨上がりは辺り一面がまるで浄化
されたかのような瑞々しく凛とした空気が心地よくて、緑の葉っぱに
キラキラと雨粒が光って滴り落ちるのがとてもきれい。
夕暮れは、その沈んでいく太陽の光と空の絶妙なグラデーションが
鏡のようなとろんとした池の水面に映って、絵画的な美しさです。

こういう自然のエッセンスを、いつも近くに感じて暮らしたいなぁと
やっぱりそう思います。



そんなふうに、他にもあたりを見渡してみると実はたくさんの自然に
囲まれているんだということにだんだんと気がついてきて、
少しずつですが、ここでの自分らしい暮らしというものが見えてきた
かなぁと思う今日この頃です。

すこし郊外へと足を延ばせば、海や湖、森など、豊かな自然に恵まれて
いるニューイングランド地方。
今日からしばらく夏休みなので、ここでの短い夏を思う存分楽しみたい
なぁと思っています。

 友人の畑からもらってきたミントを、最近焼き上がった花器に。

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